胃バリウム検査について
胃バリウム検査!回転の意味、飲み方、コツを丁寧に説明します!
胃バリウム検査ってなに?
健診、人間ドックなどで胃の検査で「胃バリウム検査」と「胃カメラ検査」を選択できるところが増えてきます。
そのため、よく「胃バリウム検査」と「胃カメラ検査」どっちがいいのと聞かれることが増えてきました。
メリット、デメリットがあるので、ここでは割愛しますね。
胃カメラ検査は、カメラを飲み込んで検査をするという認識がひろまっているために検査の内容を把握するのにあまり苦労しません。
しかし、胃バリウム検査だと認識はされているけど、どういう原理のもとに検査が成り立っているのかわからない方も多く、
検査がつらいというイメージだけが先行してしまっているようにも思えます。
(現に大変ではあるのですが。。。)ということで順番にできるだけ丁寧に説明していこうと思います。
人間ドックの胃バリウム検査をやる前の処置について
胃の検査のため、前日の夜八時ぐらいぐらいから絶食になります。胃の中にご飯などがあると邪魔して隅々までみることができないからです。
また、健診、人間ドックの検査当日は、健診をやる施設によって変わってきますが、2〜3時間前までなら飲水可能です。
脱水状態で来られる受診者もいますが、検査がつらくなりますので注意事項に書いてある飲水可能時間を確認してください!
さて、当日、検査の順番がまわってきました。
検査直前に約5gの発泡剤という薬を飲んでいただきます。
発泡剤は、液体に反応して炭酸ガスを発生させます。発生させる炭酸ガスは約700mlになります。
結構な量ですよね。。。
ゲップをしちゃいけない理由は?発泡剤をうまく飲むコツは?
他の人からの話だったり、検査前の注意事項に「ゲップをしてはいけません」とあります。
理由を理解することで、納得して検査ができると思います。
普段、食べ物が入っていない状態ですと、胃は巾着袋のようにしわしわで小さくなっています。
このような状態でバリウムを飲んでもシワが邪魔して病変を見つけることができません。
容積でいうと約50mlしかありません。
そこに先程説明をした発泡剤を飲んで、胃の中で炭酸ガスを発生させます。
発生量は約700mlです。
お腹いっぱいと感じる容積は約1000mlですので、腹八分ぐらいまで膨らむということになります。
腹八分まで膨らむとシワが伸びて、中の状態(胃粘膜)がよくわかります。
右にゲップをしてしまった胃とゲップをしていない胃を比較してみました。
なんとなく伝わりますかね!?
よく発泡剤を検査台の上で吹く方がいらっしゃいます。
それはしょうがないことですし、床などは拭けばすむことなので気にしないでください。
吹いてしまう原因は、技師の経験の中で感じたことにはなりますが、
発泡剤が急激に炭酸ガスを発生するために口におさまらなくなり、出てしまうということが考えられます。
その解決、飲むコツになりますが、
「発泡剤を飲む際には唾液に触らないように舌の上に乗せて、飲む」
「発泡剤を二回に分けて飲む」
になります。発泡剤は唾液に反応して、発泡してしまうので舌の上に乗せてから、水(もしくはバリウム希釈水)で飲みましょう。
また、一回の発泡量を減らすために、二回に分けて飲むこともいいです。
二回に分けて飲む方に注意事項ですが、バリウムは適正な濃度で飲んでいただくことが重要になります。
そのために、発泡剤を飲む際の水(バリウム希釈水)を増やしてしまうことであとで飲むバリウムの濃度が低下してしまい、病変をみつけにくくします。
なので、二回に分けて飲む際には、渡された水(バリウム希釈水)を二回に分けて使うため、一回の飲む量は少量になります。ご注意ください。
(10mlで飲んでくださいと言われたら、1回5mlで2回飲むということです)
先程もゲップを我慢という説明をしましたが、我慢のコツは自分が経験したバリウム検査でやったことは
緊張のあまり口呼吸になるので、鼻呼吸に専念する。
ゲップが出そうなら、下を向く。
生唾を飲み込む。
です。ほとんどこれでなんとかなります。我慢する時間は検査時間5分!もう無我夢中で検査をすることで案外忘れてしまうこともあるそうです。
また、ある程度、胃が膨らんでいれば、病変を見つけることはできますので、ちょっとゲップしたぐらいでも大丈夫な場合もあります!
バリウムも大変!バリウムを飲むコツは?!
発泡剤を飲んでいただいたあとにバリウムを飲んでいただきます。
量は約150mlとなります。重さは、約300gになります。
昔は300mlとか大量に飲んでいたのですが、最近は半分ぐらいになりました。
ドロドロ感と喉越しの悪さで検査前に気持ちが落ちてしまう方がほとんどになります。
自分が数多くの受診者さんを見て感じたことですが、きつそうに飲まれる方は、
バリウムに集中しすぎていると感じます。
きつそうに飲んでいる方をタイプで分けて説明していきますね。
まず、ちょっとずつ飲む方。
ちょっとずつ飲むので、バリウムがなかなか減らず量を見てしまったり、
ちょっとずつ飲むことで何回も舌に残る異物感を感じなくてはいけません。
次に、眼をつぶって飲む方。
眼をつぶってしまうと、舌に神経が集中してしまい、
舌に残る異物感を最大限で感じなくてはいけません。
ということで、以上のことを考えると、コツは以下のようになります。
バリウムを見ない
目をつぶらない
ある程度、量を多くして一気に飲む
間隔をあけないで飲む
になります。また、バリウムは約150mlです。重さにごまかされてしまいますが、缶コーヒー(一本)の量にも満たない量です。ぐいっといきましょう!
ローリング(回転)をある程度早くしなくてはいけない理由は?
ここまで、発泡剤、バリウムのダブルパンチでフラフラな受診者さんには、大変申し訳ない状態なのですが、ここからが本題になります!
検査が意味のないものになっては、発泡剤・バリウムのきつさが、さらにきつく感じてしまいます。
私達、放射線技師はマイクを通して、受診者に声をかけていきますが、結構急いでるように感じませんか?
その理由は、胃の中のバリウムが胃の次の臓器である十二指腸に流れてしまうと胃の見える範囲が狭くなってしまうということです。
下の画像をみていただけるとわかりますが、十二指腸に流れたバリウム(赤矢印)が胃と重なり、見えなくなっています。
つまり、ある程度早く回ってもらわなければ、病変をみつけるためのバリウムが逆に病変を隠してしまうのです。
また、放射線技師から指示がなく右側臥位(右を下にして寝る状態)で止まると「右向きで止まらないでください!」と言われてしまいます。
その理由も、先程と同じで次の臓器(十二指腸)にバリウムが流れてしまうからです。
バリウムが十二指腸に流れてしまうと、胃が隠れて見なくなるので胃がんの発見率に影響が出てしまうこともあります。
バリウム飲んできついのに、なんで何回もローリング(回転)するの?
また、ほとんどの場合は、はじめに右回りで3回転をしていただきますが、これにも理由があります。
バリウムを飲んだだけでは病変を見つけることが出来ません。バリウムを胃の壁に塗りつけてこそ、病変がわかります。
しかし、バリウムも万能ではないので、一回塗りつけても20秒ぐらいで剥がれてしまい、
また病変が見えなくなってしまいます。
そのために、写真を撮る度に、回転をしていただいてバリウムを壁に塗りつけて写真を撮っています。
バリウムが塗られている胃と塗られてない胃を画像にしました。
きれいに塗れているとレントゲン写真もきれいになります。
しかし、ちょっとすると剥がれていくのがわかりませんか?
剥がれては何も映らないので何度も回転をしています。
また、何回も回転(ローリング)して、いろいろな向きで写真を撮るのは、
胃を多方向から観察がしたいために、
いろいろな角度からレントゲン写真を撮っています!
見落としがあっては一大事ですから!
どうでしょうか?なんとなく急いで回る理由、
数多く回る理由がわかっていただけましたか?
大変だとは重々承知ですが、バリウムの性状、
胃の性状でゲップの我慢や回転をしていただいています。